調べ学習の恐ろしさ

調べ学習とは

BYODのタブレットやパソコンを利用して、ネットで調べたことをもとにグループで話し合い、グループごとに発表して理解を深める学習方法のことです。

検定教科書とは

小学校・中学校・高等学校では文科省が検定を行なった教科書が使用されます。この教科書のことを検定教科書といいます。
もちろん、検定教科書には誤字脱字がなく内容も誤りがないものです。この教科書の分量は授業時間でこなしきれないくらい豊富な内容になっています。

調べ学習と検定教科書

調べ学習の大半は教科書に載っている内容です。
教科書を読めば10秒でわかることを、ネットで誰が書いたのか、真実なのかわからないことを調べさせてグループで話し合いながら1時間を費やします。
最終的には、教科書に書いてある10秒で理解できる内容を1時間かけて話し合わせ、最後に教員が答を言う。あまりにも馬鹿げた授業であり、その他のことを学ぶ時間が削られています。
このような授業において本当に生徒たちの学力が向上し、将来変化しているであろう仕事に対応できるのでしょうか。とても疑問に思います。

調べ学習の授業内容の例

私は次のような授業を見学したことがあります。

  1. 日本史の授業
    「今日の授業内容は、『平安時代に発見された袋に札が刺さっていた。その札の意味するところは何か。』グループごとに考えてみよう」といい、地域と品物の目録が書いてある札の写真を提示した。
    生徒たちは1時間を使い「あーでもない、こーでもない」と言いながらいろいろな考えが出てきた。見た目には楽しい授業だと思います。
    最後に、グループごとに発表を行ない、最後に教員が「納税の内容を表すための札です」と言って授業は終わった。そんなことに1時間使ったら他のことが学習できないと思います。見た目は楽しいかもしれませんが知識量は薄すぎます。
  2. 数学の授業
    確率の単元でどのような組み合わせがあり、条件に合うのは何通りかを考えさせる授業でした。
    例題の選択も適切で面白い内容でした。
    生徒たちはいろいろな発想でグループごとに話し合っていました。話し合いの内容も興味をそそるものでした。この授業は大変興味深いものでした。

結論

学習には「覚えごと」と「考えごと」があります。覚えごとに調べ学習をさせるより検定教科書を使って覚えさせたほうが効率が良いと考えております。それに比べ、考えごとの学習にはみんなで討議しながら考えを深めることが重要だと思います。すべての教科・単元で調べ学習を取り入れるようになっていますが、無意味な単元・有意義な単元を選択できる教員の力量が必要になっていると思います。